- 古墳・古墓
乾垣内遺跡(いぬいかきうちいせき)
~棺に転用された埴輪~寺戸町乾垣内 全壊
伝高畠陵(でんたかばたけりょう)古墳の北約120m付近の丘陵斜面につくられた埴輪円筒棺墓です。1973年に筍づくりの土入れ作業中に露出し発見されました。遺構の全容は不明ですが、盾形埴輪1個体分が、盾面を上に向けた状態で出土したことが確認されています。 埴輪の復原作業の結果、盾形埴輪2個体と鰭(ひれ)付円筒埴輪の一部が使用されていたことがわかりました。この盾型埴輪と同じ製作技術でつくられた同形同大品が、京都市伏見区黄金塚2号墳で大量に出土しています。この種の埴輪は宇治川流域の政治勢力が生産を主導していた可能性が高く、乾垣内遺跡の埴輪は伝高畠陵古墳の造営を契機に請来され、棺に転用されたと考えられます。
向日市史編さん委員会『向日市史』上巻・下巻 向日市 1983・1985年
岩崎誠「乙訓で初めて見つけられた円筒棺」『乙訓文化』第35号 乙訓の文化遺産を守る会 1978年
『向日市埋蔵文化財調査報告書』第47集
梅本康広「桂川流域の埴輪編年と地域性」『(財)向日市埋蔵文化財センタ-年報都城』№6 (財)向日市埋蔵文化財センタ- 1995年