- 寺院跡
鶏冠井壇林跡(かいでだんりんあと)
~僧侶の学校~ 鶏冠井町御屋敷・東井戸
阪急西向日駅の北東450mの北真経寺を含む一帯の段丘上に位置する近世の寺院跡です。京都壇林のひとつで、北真経寺にあった近世の宗門の僧侶養成機関です。通明院(つうみょういん)日祥(にっしょう)が創設し、承応3(1654)年に開講されました。壇林は学長(化主(けしゅ)・能化(とうけ))、学僧(所化)で構成され、9棟の寮に集住して日蓮宗を学んでいました。盛時には数十人から百名を超える僧侶がいましたが、学僧の減少により、1878(明治11)年に解体されました。境内地の発掘調査では18世紀中頃~19世紀中頃の学僧名や施設名、年号を示す多量の墨書陶器や硯が出土しています。一村全てが日蓮宗という中世の鶏冠井村の歴史を背景に、近世の教化拡大の拠点として一時ながらも命脈をもった宗教施設であり、意義深い遺跡です。
『向日市史』上巻・下巻 向日市 1983・1985年
『向日市埋蔵文化財調査報告書』第31集・第43集・第52集