- 史跡長岡京跡
春宮坊(かしのき公園)
平成8(1996)年に内裏の東側で行われた公園建設時の発掘調査で、多量の遺物が出土し、以後、平成10(1998)年まで4回の調査が行われました。「春宮坊(とうぐうぼう)」と書かれた木簡などの文字資料の分析から、これらの出土遺物が春宮坊からまとめて廃棄されたものと判明しました。春宮坊は皇太子の政務や日常生活を支える役所の名前で、内裏の東側に皇太子の居所があったことを示しています。
出土した文字資料には、「供 御料」「御在」など皇太子に直接関わるもの、「春宮坊」「主工署」「主膳監」など春宮坊の業務を示すものがあります。また、緑釉陶器やミニチュア土など特殊な遺物のほか、工房で用いられたとみられる漆紙文書、琥珀、鼈甲、象牙などの加工屑が出土していることから、春宮坊内でこうしたもので装飾されるような物が製作されていたことがわかりました。
なお、この春宮坊が仕えた皇太子は、桓武天皇の長子、安殿(あて)親王(後の平城天皇)です。