大蔵(向日市寺戸町辰巳)
大蔵は、中央政府の財物を収めておく大蔵省所管の倉庫である。
大極殿の北北西600mの北辺官衙南部(向日市寺戸町辰己)で確認された遺構群をこれに推定している。築地で囲まれた総柱礎石建物(倉庫)、石組み溝、池で構成される。「倉は、高燥地に置き、側に池と溝を配置する」と規定する『倉庫令(そうこりょう)』の記載に一致すること、都城では伝統的に大蔵を宮域の北側に配置することから、大蔵と推定している。なお、大蔵推定地の南側官衙区画から、「主計(しゅけい)」、「主税(しゅぜい)」と記す墨書土器が出土している。
民部省(みんぶしょう)所属の下級官司で、中央財政の収支を計算する主計寮、倉の出納を行う主税寮に関係するものと考えられる。