公益財団法人 向日市埋蔵文化財センター

内裏(向日市鶏冠井町荒内ほか)

内裏(向日市鶏冠井町荒内ほか)

内裏(だいり)は、天皇のご在所である。長岡宮の内裏は、遷都当初大極殿の北側ないし西方に設けられ(西宮:第一次内裏)、延暦8(789)年2月に東側に移建された(第一次内裏:東宮)と考えられている。

 

調査で確認されたのは、第二次内裏である。

内裏は、正殿を中央やや南寄りに配置し、北部に後宮、中央部に天皇の私的空間南半部に公的空間を配す。発掘調査で、内裏正殿進物所相当施設登華殿(とうかでん)、弘徽殿(こきでん)、淑景舎(しゅげいしゃ)など、平安宮内裏図に示された殿舎を確認しており、平安宮内裏の原型が長岡宮にあることが明らかになっている。内裏全体は、159m四方の築地回廊で囲まれ、10尺(1尺:29.6cm)を割り付け基準として殿舎を配置していた(内郭)。内郭北西隅は、1967年の発掘成果をもとに史跡公園として整備されている。平安宮には、内郭を囲む外郭があるが、長岡宮に外郭があったか否かは確定していない。

 

少なくとも、平安宮の中和院(ちゅうかいん)相当施設はないことが発掘調査で明らかになった。平安宮中和院では、天皇が神を迎えて酒饌を供する神今食(じんこんじき)と呼ばれる祭事が行われた。長岡宮では、内郭内でこの儀式を行ったと考えられる。

 

内裏正殿復原模型(向日市文化資料館)
内裏正殿復原模型(向日市文化資料館)

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