公益財団法人 向日市埋蔵文化財センター

大極殿院(向日市鶏冠井町秡所)

大極殿院(向日市鶏冠井町秡所)

天皇が儀式や謁見を行う場所が大極殿(だいごくでん)、控えの場が後殿である。大極殿は、昭和46(1971)年の発掘調査で基壇(きだん)の規模が確定した。基壇は、東西42.8m(約145尺)、南北21.6m(約73尺)、床面積約924㎡(約280坪)、推定高2.4mある。梁間(はりま)2間、桁行(けたゆき)7間の四面庇付(しめんびさしつき)建物に復原されている。壇上積基壇総瓦葺き建物である。上屋構造は、寄せ棟と推定されている。南面に3つの階段、北面に2つの階段と後殿につながる軒廊(こんろう)がある。

 

後殿は、大極殿の真北にある。発掘調査で、礎石据付穴、基壇痕跡がすべて確認された。梁間2間(12.8m)、桁行7間(27.9m)、面積357㎡(約108坪)ある。礎石据付穴の遺存状況から、推定高1.1mと、大極殿に比べ低い基壇であったと考えられる。

 

大極殿の前庭には、元日朝賀の際、7本ののぼり旗―宝幢(ほうどう)―が立てられた。1997年、2003年の発掘調査で、このうち日像(にちぞう)、朱雀(すざく)、青龍(せいりゅう)、玄武(げんぶ)、白虎(びゃっこ)の各宝幢構築穴を確認した。東西6m間隔に正確に配列されたことが明らかになっている。

 

大極殿と後殿は回廊に囲まれている。回廊は両側に通路をもつ複廊である。

 

大極殿院は、東西97.68m、南北114.848mの規模である。南門は、閤門(こうもん)と呼ばれる。梁間2間(8.9m)、桁行5間(22.25m)、面積約198㎡(約60坪)である。大極殿院の施設は、後期難波宮の施設を移建して造営された。平安宮には、この門は無く、代わりに龍尾壇(りゅうびだん)がつくられるので、歴代の都城で最後の閤門となる。元来、大極殿院は、天皇のご在所(内裏)の南にあり、天皇の私的空間と位置づけられる。しかし、長岡宮で内裏が独立し、回廊で囲まれる大極殿院が成立した。閤門は奈良時代までの大極殿院の性格を残すものと言える。

 

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