令和元(2019)年度市民考古学講座 『戦国の争乱と西岡・物集女城』(全5回)
中世の向日市は「西岡(にしのおか)」とよばれ、首都である京都の西の郊外に位置することから、応仁の乱や戦国の争乱など、戦乱の影響を直接受ける地域でした。西岡では物集女・寺戸・上植野など各集落に土豪とよばれる有力者が生まれ、拠点として城館が築かれました。その一つである物集女城は堀と土塁が現在も残り、また城内の調査によって、城の構造や生活の様子が明らかになりつつあります。そこで、物集女城や上植野城など中世遺跡の調査成果をもとに、中世の向日市域の様子を紹介します。
[会 場] 向日市文化資料館2階研修室
(阪急東向日駅から徒歩8分、JR向日町駅から徒歩15分)
[時 間] 各回14時~16時(開場13時)
[参加費] 無料
[申込み] 6月3日(月)より受け付け開始。定員80名、先着順。
氏名、人数、住所、電話番号、希望する講座をご記入の上、公益財団法人向日市埋蔵文化財センターへFAXか往復葉書でお申し込みください。
〒617-0004 向日市鶏冠井町上古2 TEL075-931-3841 FAX075-931-4004
※手話通訳が必要な方は開催日の10日前までにお知らせください。
◆第1回「京都・西岡の自然景観変遷史」 6月15日(土)
幕府と朝廷が争う京都、洛中からみて西の農村地域を西岡と呼びました。都直近の土豪「西岡衆」と農民たちが領地の繁栄・増産を願って山野、河川で土木工事にいそしみます。冷涼多雨化の気候変動期にもあたる戦国時代前後の自然と改造のしくみについて考えます。
◆第2回「城館誕生前夜-交錯する王権と地域権力-」 7月20日(土)
物集女城の出現は地域史的にみて唐突なできごとではなかったのです。築城の場所は古墳時代以来、王権や地域権力が掌握した政治経済上の要地にほかなりません。城館出現の背景を古代に遡って考えます。
◆第3回「物集女氏と物集女城・西岡の中世城館」 10月12日(土)
応仁・文明の乱から戦国時代へとつづく争乱のなかで、物集女地域を支配し、西岡惣国の有力者であった物集女氏について、文献史料からその歴史を読み解きます。あわせて、開田城、寺戸城、勝龍寺城など乙訓地域に位置する中世城館について紹介します。
◆第4回「発掘、上植野城~秋田氏の小畑川普請と総構~」 11月9日(土)
和井川・小井川。上植野城周辺を潤す小畑川用水にあたります。川を動かし流れをまとめる普請と同時に用水整備が進みます。固められた川筋が田畑よりも高くなる「天井川時代」到来です。あわせて土豪秋田氏の城造りを発掘成果からひもときます。
◆第5回「発掘、物集女城~物集女氏の戦略とくらし」 12月21日(土)
物集女城は南北約75m、東西約70mの方形単郭式の城館で、京都近郊の土豪が構えた平地城館の典型例です。11回におよぶ発掘調査から判明した立地、規模、防御施設の構造、内部の土地利用など、城とその周辺の様子を紹介します。
予告 講演会(9月)、西岡の中世城館を巡る見学会(10月)